ハムスターがBOGOどころじゃなかった件

英略語

地元だけなのか州全体なのか確かめていないが、スーパーのお決まりセールで Buy One Get One Free(略してBOGO ボーゴー)がある。「ひとつ買ってひとつタダ」って日本では聞いた事がないが大変お得感あり!日常会話でも ”It was a BOGO this week.” などと使う。

3週間前、思春期鬱真っ只中の娘2が家族会議を提案した。鬱の診断が下ってから数ヶ月、なんとなく家中で彼女の行動に注意し、心配していた。そんな中の家族会議。プレゼンテーションまで用意してあるという。学校やめたいとか、死にたいとか言われたらどうしよう・・・という緊張の中始まった彼女のプレゼン。ポイントは「ハムスターが欲しい。」だった。

ほっとしすぎて、ふたつ返事で承知。次の日にはうちに(彼女の部屋に!)ハムスターがやってきた。薄いベージュのきな粉のようなネズミ。命名「キナコモチ」通称 ”Mochi"。娘2は得意のインターネット情報収集で得た知識で事細かくモチの世話をしていた。家族は最初の週は部屋に入らないようにと指示が下った。

モチがきて3日目の朝。彼女の部屋から私を呼ぶ尋常でない彼女の声 「ま〜み〜ぃ〜!き〜て〜ぇ〜!おねがい〜」手首でも切ってしまったかと慌てて部屋に行くと、ケージの前で呆然としてる娘。なんだか見たこともない赤い小さな物体がひとつ蠢いていた。電気をつけて見てみると多分生き物。モチの姿は見えない。急いでモチの家をひっぺがして見たら ”What the F***!?” もっとたくさんの赤いのがモゴモゴモゴ!!!そして出産前も後もあまり変わらないモチが私達を黒いビーズの目で見上げていた。私と娘2は卒倒寸前。

その日、娘は学校に遅刻。ハムスターは子供を殺したり食べたりするのも珍しくないらしい。祈る気持ちで見守る事にした。

それから3週間、どうやらモチは想像以上にできる母親だったらしく、11匹の全ての子供が生存。毛も生え、目も開いて非常に愛くるしい(臭いけど)。犬や猫と違って小さいのでふわふわを触る満足感はあまりないが、見てるだけで十分楽しめる。

これはBOGOどころか、Buy One Get Eleven Free (一個買って11個タダでBOGE ボージー!?)の超お買い得商品!?里親も今のところ3人しか決まってないが、娘2は生まれ変わったように生き生きと12匹のハムスター親子の世話をやいている。生命の神秘と逞しさを目の当たりにして、生きる気持ちが刺激されたのかもしれない。18ドルのモチが彼女にもたらした価値はまさにプライスレス。インターネットの情報溢れる今、見ようと思えば何だって見れる。でも、やはり実際に経験するという大切さが身にしみてわかったBOGE だったのでした。

ちなみに娘2は昔からクジ運がいい。今週の宝くじパワーボールのジャックポット(大当たり)はざっと日本円で700億円。早く18歳になってくれればいいのに。

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