Censor: 東リベ アメリカ版

英単語
引用:和久井健・講談社・アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会

ご多分に漏れず、東京リベンジャーズにハマっている。今まで楽しみにしていた進撃の巨人(漫画)が終わってしまい楽しみを無くしてしまった矢先、生徒が「東京リベンジャーズってアニメ面白いですよ。」と教えてくれた。とりあえず無料の Crunchyroll というアメリカオタク御用達のサイトで長い広告に付き合い、料理や洗濯物の片付けをしながら、”ながら見”を始めたらアニメのシーズン終わりの頃にはすっかりハマってしまい、電子書籍サイトで漫画を買い始め、あっと言う間に現在(2022年1月)25巻に追いついた!

日本に住んでいる兄弟、姪甥にまで漫画本を送りつけ強引に東リベを布教するという暴挙にも出た。もちろん布教は身近な娘1と娘2にも。HBO Maxと言う有料のストリーミングサイトに上がってきていたから容易な事だった。東リベの話し相手を獲得した私は事あるごとに東リベの話題をふった。「誰が一番好き/嫌い?」「これからどうなると思う?」「黒幕は誰?」(最後の質問には10歳の甥が大人顔負けの予想を出していた!)

CENSOR とは

漫画読んで、アニメも2回目の娘1「オーマイガー!」と絶叫し見てた画面を一時停止。「トーマンのロゴがないいいい!!」なんとアメリカ版アニメでは全ての卍(まんじ)マークが消されていた。

これが censor (ンサー)ってやつだ。Google辞書を読んでみよう。

  • censor: examine (a book, movie, etc) officially and suppress unacceptable parts of it” とある。suppress (サプス): to prevent something being expressed or known: 表現や知識を抑制する事。unacceptable“(アナクプタボ) の意味は 「受け入れられない」と言うわけで

Censor とは受け入れられない表現や知識を公式に抑制する事すなわち検閲となる。

娘1はもう一つの「オーマイガー」の後に叫んだ ”I can’t believe it’s censored!!”

卍とは

言わずもがなの話だが、卍は仏教やヒンズー教で古くから使われていて日本では寺院の地図記号だし漢字としても使われている。それだけ歴史を持ったシンボルなのだ。それを元にしたデザイン(卍が逆さまで斜めに配置)をナチスドイツ軍が第二次世界大戦で使った事であっと言う間に西洋諸国で極悪のシンボルとして定着してしまった。(現在のアメリカでも悪名の高いネオナチや白人至上主義グループに使われている。)あまりお勉強の好きではないアメリカ人が卍を見ればそれこそ「オーマイガー!!!」級のシンボルだ。だからと言って未だに ’unacceptable’ (アナクプタボ=受け入れられない) 物なのか!?

もちろん、ナチスドイツがした事は許される事ではないし犠牲者の方々を思うと胸が潰れる思いがする。しかし、それ故その前の歴史をなかった事にしてしまうのはどうかと思う。こう言う事を知識や見識を広める機会に使ったらどうだろう。それには、Censorして隠すのではなく、お断り文(disclaimer: ディスクイマー)を入れた方が人々の教育に繋がるんじゃないだろうか。

Disclaimer の例:

(ディズニーの昔の映画(The Aristocats おしゃれキャット)にはものすご〜くご丁寧なDisclaimerが映画の最初に入っている。とっても興味深いので貼っときます。)

“This program includes negative depictions and/or mistreatment of people or cultures. These stereotypes were wrong then and are wrong now. Rather than remove this content, we want to acknowledge its harmful impact, learn from it and spark conversation to create a more inclusive future together. Disney is committed to creating stories with inspirational and aspirational themes that reflect the rich diversity of the human experience around the globe.”

“The cat is depicted as a racist caricature of East Asian peoples with exaggerated stereotypical traits such as slanted eyes and buck teeth. He sings in poorly accented English voiced by a white actor and plays the piano with chopsticks. This portrayal reinforces the ‘perpetual foreigner’ stereotype, while the film also features lyrics that mock the Chinese language and culture such as ‘Shanghai, Hong Kong, Egg Foo Young. Fortune cookie always wrong.’”

ディズニープラス公式ページより disneyplus.com

誰もこんな長いDisclaimer(ディスクイマー)を読まないと思うから簡単に言うと「前に作ったやつの表現が今も昔でも間違っていました。でもこれを通して勉強してね。」って事だ。Censor はされておらず誰でもオリジナル(元のまんま)の映画を見てそこから学んで話し合ったりできる。さすが夢の国!

過ちを未来に:

繰り返しになるが、 Censor でなかった事にするのではなく、ここを教えの絶好のタイミングと捉えて堂々と自国の文化を発信し、あとは判断を視聴者に委ねればいいのだと思う。グローバル化が急速に進む今、他文化の知識が多い事にこしたことはない。それができないと思われているのだとしたら視聴者としてバカにされてる気がする。

更に言うと、東リベアニメの Censor を決定したのは日本の制作側だと言うことを知って、とってもがっかり。私はてっきりアメリカの放送権を持った側の処置だと思い込んでいたのだが、日本側がすると、何だか西洋文化に媚びた感が否めない。アニメ、マンガは今や立派な日本文化の発信地点で影響力も大きい。堂々と世界に誇りを持って送り出して欲しい。

「日和ってんじゃねーぞー!ニッポン!!」